2019年8月17日土曜日

遠野町で遠野和紙の紙すき体験をしてきました


遠野町入遠野地区。遠野オートキャンプ場近くにある遠野和紙工房。


まずは和紙や遠野和紙についてお話を伺いました。

和紙の工房は日本全国、各都道府県にあるそうで
福島県は二本松市といわき市の遠野に和紙工房があります。

遠野和紙は400年前から受け継がれてきました。
遠野町では瀨谷やすおさんという方が紙すきをしていたそうですが数年前に他界したので
いわき市が継承者を募集し、川崎から平山さんご夫婦がいらっしゃって
現在、お二人で紙すきをしていらっしゃいます。




平山さんからお話を伺ってびっくりしたのは日本の紙幣は実は和紙でできているということ。
和紙は楮(こうぞ)、三椏(みつまた)、雁皮(がんぴ)が原料なのだそうですが
紙幣にはみつまたが使われているそうです。

新元号「令和」の出典は「万葉集」ですが1200年も前にできた万葉集は和紙でできており
そんな昔に作られた万葉集は今でも見ることができます。
それで和紙は世界から注目されるようになりました。
というのは、洋紙は100年ほどしかもたないのに和紙は1000年~1500年ももつからです。
実際、長い期間保存しておきたい資料などには和紙が使われているそうです。
フランスのルーブル美術館でも使われているのだとか。


和紙と洋紙を触ったりちぎったりして違いを比べました。
和紙は繊維が相互に絡みついているため、洋紙のように簡単にちぎれることはありません。


遠野地区では小中学校の卒業証書は遠野和紙で
また遠野高校は自分の卒業証書を自分で漉いた和紙で作っているのだそうです。

平山さんご夫妻

他にも遠野和紙を使った商品開発をしているそうです。


工房のウラに案内されました。


和紙づくりにかかせない楮(こうぞ)を育てています。
夏は2~3メートルにもなる楮を秋に刈り取ります。


こちらはトロロアオイ。
トロロアオイの根はハンマーでたたくと寒いとき(15℃以下)だけ粘りが出るのだそうです。
その粘りが和紙づくりには欠かせないのだとか。


トロロアオイは別名花オクラといってオクラ科の植物ですが、食用になるのは花だそうです。

白い木が楮で根っこがトロロアオイ

秋になったら楮を煮て乾かし皮むきをします。黒皮から白皮になり、それを煮て切り取ります。
その後、ゴミ取りをするそうですがそれに3~4日程度かかります。
この時、ゴミをキレイに取り除かないと白い紙ができないのだそうです。


その後、木の棒でたたいてバレーボールくらいの大きさになるまで
男性だったら2時間、女性なら3~4時間ほどたたきます。

強力な助っ人である機械がしまってあります

ですが機械を使うとその木の棒でたたく作業がたったの5分で終わってしまうのだとか。


説明を聞いたところでお待ちかねの紙すき体験です。


今回は化学粘剤を使います。トロロアオイの根もこのように粘りけがあるのだとか。
これらは水と紙が分離しないようにする役目があるそうです。


元々紙すきは女性の仕事だったそうですが、紙すきをしている方の手はすべすべで
紙すきの原料が関係しているのかな、というお話でした。


水と和紙の原料、粘剤が入ったものをよくかき混ぜます。箒で掃くように手を動かします。


型に水をすくって左右に10回程度揺らして水分を下に落とします。
左右に動かすことで繊維が絡まり紙になります。
ただ揺らしているだけのように見えますが、実はそれぞれ性格が出るのだとか。
平山さんご夫妻も同じように左右に揺らしているつもりでもそれぞれ出来上がりが異なるのだとか。
おもしろいですね。


型から外し、水分を飛ばします。


その後、透明なファイルに挟めて自宅に持ち帰り、窓ガラスなどを利用して乾かすと
和紙が完成します。

和紙っぽさを残すためにあえて楮の皮(黒い部分)を入れてあるそうです


こちらは障子紙を漉くときに使う型。


本来はこちらの機械で水分を落とすそうです。


水分を取り除いた和紙はこちらに貼り付けて乾かすそうです。


お風呂の追い炊きの機械のようなモノでこれで温度調節します。


他にもいろいろな道具がありました。





障子紙サイズになると水の量も多くなり10㎏近くになるそうなので
上からひもを吊って支えながらするそうです。


遠野町で紙すきを継承してきた瀨谷さん。


参加者一人ずつ紙すきに挑戦しました。はがきサイズの紙を漉きます。










こちらは賞状サイズを漉いているところ。
厚紙は溜め漉き(ためすき)とよばれる手法で漉きます。
こちらは中国から伝わったそうで、先ほどの厚紙サイズはこちらの溜め漉きで漉きました。
その後、障子紙や半紙など薄い紙の必要となり
日本独自の流し漉き(ながしすき)が生まれました。
流し漉きは型に水をすくっては捨て、すくっては捨て、を繰り返すため
繊維が絡みついているので薄いのに丈夫なのです。


今回は2人がこちらの大判に挑戦。
流し漉きは難しいので溜め漉きでやってみました。


上手にできました♪


次は男の子も。


遠野高校の生徒さんたちは自分の卒業証書をこうやって漉くのだそうです。
今回は2人とも上手にできたのですが、必ず上手くできるわけではなく
人によってはできあがりが波打ってしまうこともあるそうで、それも個性ですね。


こうして紙すき体験は終了です。所要時間は大体1時間程度でした。
紙すき体験だけでなく、和紙に関する興味深いお話も聞けて大満足です。


紙すき体験は随時行っているそうですが事前に申込みをしてからお出かけください。
詳しくはいわき市遠野町地域おこし協力隊のFacebookページInstagramより
お申し込みください。
寒い冬の時期の方が作業することがいっぱいあるのでオススメだそうですよ。

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