2011年9月25日日曜日

カムイ・パーカッションシンフォニーコンサート  「森・川・コロポックルのためのパーカション・シンフォニー」 体験レポート

87日から13日までの67日、2年前から参加しているパーカションのワークショッグループovo novoは北海道旭川市に滞在し、旭川の子供たちと一緒に交流ワークショップをしながら、最終日は市内のホールにてコンサートを行いました。そして私と子ども達もそれに参加しました。

旭川といわきは、中核都市(人口30万人以上)同士ということでつながりがあり、震災直後、支援物資をいわきにいち早く届けてくださったという経緯があるそうです。
旭川市民の有志の方々が実行委員会を組織し、被災地支援事業として北海道と旭川市からの助成を受けて、今回のコンサートが実現しました。

 6月のある日、スタッフ前田さんから、いつもovo novoのワークショップで講師をされている渡辺亮さんが、この夏旭川でいわきスタイルのワークショップをなさる予定で、実はその主催者からovo novoを招待し、交流ワークショップにしたいというご提案を頂いたと連絡がきました。
正式決定ではないものの、どのくらいの希望者がいるか把握したい、という前田さんに我が家は「行きたい!!」と即返信しました。
すると数日後に北海道でのツアーを実施することに決まったので参加される方は申し込みをして欲しい旨、再度連絡がありました。
北海道に演奏旅行をしてみたいものの、震災後、長距離の旅行は避けてきたので、正直、行って大丈夫だろうかという迷いはありました。主人は喜んで賛成してくれ「北海道で沢山友達を作ってくること」という約束を主人と子ども達は交わしました。近くに住む実家の両親にも北海道行きの話をし、行ってきたら、と背中を押され、私と子ども達4人、参加することに決めました。

北海道行きが決まって子ども達は大喜びでした。末の息子は「北海道に行く準備、できたよ!!」とニコニコ顔で言うので「え?だってまだ持ち物とか決まっていないのに、準備できるわけないでしょ?」と言うと「ほら」と見せてくれたのは“北海道にいくじゅんび”と書いた札が貼られている箱に自分のおこづかいを入れた袋をしまっていて「北海道に行ったらね、これでおばあちゃんたちにお土産買うの」と。でも、その袋の中には小銭しか入っていないから、お土産は買えないとお母さんは思うんだけれど……。結局、出発前におばあちゃんやおじさんからおこづかいをもらって、あんまり嬉しくて何度も中身を確かめていました。

夏休みに入り、ovo novo旭川ツアーへの参加者と打ち合わせをしました。準備物やスケジュールの確認、宿泊先のことなどの話を聞きました。
67日にわたるツアー、小6の長女は宿泊活動で家族以外の人たちとの合宿生活を経験しましたが、小4の次女と小2の息子は初めてのことなので、そんなに長い期間一緒にやっていけるか、また、他にも不安なことはありました。ovo novoの活動は3年前から始まりました。1年に2回のワークショップと大集合ライブの1回の合計3回行われますが、3回すべて参加する皆勤賞のリピーターが多いのも特徴です。我が家は2年前から参加していますが、1年に1回のワークショップと集合ライブに参加する程度なので、他のメンバーは顔と名前が一致しないことも多く、一緒に行くメンバーの顔と名前もツアー参加者との打ち合わせでやっと分かったというくらいだったので、他のメンバーとも打ち解けられるか、ちょっと心配でした。

出発当日、我が家では妹から借りたスーツケース2つと出発直前に買ったカメラ、それぞれのリュックには着替えをパンパンに詰めて空港に行きました。
長女は幼い頃に何度か飛行機に乗せたものの、次女と末っ子長男は初めて。以前から「飛行機に乗りたい」とせがまれてはいたものの、実現するのはいつになることやら、と思っていたのでまさかこんなに早く子ども達と飛行機に乗れるとは思ってもみませんでした。

空港で集合に集まった参加者。 子ども達はもう飛行機に乗れるとワクワクです。カウンターで大きな荷物を預けたり、手荷物検査をしたり、初めてづくしのことばかり。夕暮れに集合した空港も、飛行機が離陸する頃にはあたりは暗くなっていました。
初めての飛行機、喜んで乗ったものの、コワいと泣かれるのではないかと多少の心配はありましたが私の心配をよそに子ども達は大はしゃぎ。ふざけすぎて顔をぶつけて痛くて涙がこぼれる息子を見て、客室乗務員のお姉さんに「大丈夫?」と心配されたり、ジュースをもらってニコニコしたり、初めての飛行機は大満足のようでした。
空港からは滞在する旭川までバスで移動。21時を過ぎているというのに子どもたちのハイテンションはとまらず、参加する年上のお兄さんたちとふざけあっていましたが、途中のトイレ休憩の後は強制就寝タイムとし、到着まで少し寝かせることにしました。するとあっという間に眠りにつく末っ子長男。私も到着までウトウトしていました。

宿泊する富沢ふれあいの家はワークショップでお世話になる旭川市富沢小学校体育館の隣の建物。到着したときは日付も変わろうとしている時刻にもかかわらず、管理人さんやワークショップ講師で東京からいらした渡辺亮さん、のりさんをはじめ、私達を招待してくださった旭川の実行委員の方が「よく来たね」と出迎えてくださいました。
眠い目をこすりながら建物に入る子ども達。ふれあいの家に入ると入り口に「歓迎 ふれあいの家へようこそ いわき市ovo novoの皆様 頑張ろう 東北 頑張ろう 日本」の文字が。それを見て、不意に涙がこぼれそうになりました。ああ、本当に北海道に来たんだな、という安堵した思いと、こうして私達の気持ちに寄り添って支援してくださっている方がいるんだな、という思いに胸がぎゅっとしました。
子ども達はあらかじめ割り振ってあった部屋に入り、すぐに深い眠りに落ちました。なんとお布団は実行委員の皆さんと講師の亮さん&のりさんが敷いてくださったとのこと。
私たち大人も簡単なミーティングを済ませるとその日は休みました。

翌日、外を見たら広々とした景色が広がっていて、私が知っている色んな田舎とは違った光景に、ああ、北海道に来たんだなぁと思いました。
2日目の予定は近所にある農家レストランで昼食をとった後、市内の科学館を見学し、その後、子ども連れ参加者はホストファミリー宅に宿泊、大人のみの参加者は滞在中に使用する食材を買出ししてふれあいの家に帰る予定でした。

実行委員数名の方も同行し、お昼ごはんを食べに行くことに。実行委員で事務局を担当されている村田さんのお孫さんで、夏休みでアメリカのボストンから帰国しているという小2の男の子、しんごくんも一緒でした。他にも、その晩私達親子がお世話になる能登谷さんもいらっしゃいました。その晩は能登谷さんのお宅に私達は泊まることになっていました。
宿泊しているところから歩いてすぐの場所に“農家レストラン ピルカノ”はありました。滞在中、お昼ご飯はここで食べる予定で、最初のご飯はカレーライス。一緒に出されたとうもろし、お店の人が「とうきび」と呼ぶことが子ども達はまた新鮮だったようですが、そのとうもろこしが甘いこと甘いこと!!びっくりしました。カレーもすごく美味しくて、私はカレーの中に入っていたお肉がまた甘くて聞いたところそれもこだわりの一品だということでした。子ども達は美味しいと評判のソフトクリームを食事が終わった人から受け取って美味しそうに食べていました。
飛び入り参加のしんごくんもすぐにうちとけて、まるで以前からovo novoのメンバーだったように、みんなとなかよくなっていました。

食後は実行委員の方が運転するマイクロバスに乗り、旭川市内の名所をバスの中から見てまわりました。旭川市内は京都に似せた街づくりで、道路が碁盤の目のように整然としていること、道路は夏は広いけれど雪の季節は両側は雪で覆い尽くされること、道路と歩道の境目が分かるような標識があること、市内には大きな川がいくつもあり、橋を渡って行き来していること、など。

市内の名所をざっと見たところで“旭川市科学館 サイパル”に到着。こちらは旭川市よりご招待していただきました。新しい建物の中では、さまざまな科学を体験できるブースが並び、小2の息子はピタゴラスイッチに似たボールコースターを気に入り、小4の次女はNASAの訓練機器を模した宇宙ゴマを、小6の長女はモーション・キャプチャー技術を使ったスーツを着て人類の進化の過程を体験しました。
ちょうど特別展のロボット展が開催されていて、ロボットのショーが行われていたのですが、多くのお客さんでショーが見えないので、なんとお宅に泊めていただく能登谷さんにうちの息子は肩車をしていただきました。能登谷さんは市議会議員をされていらっしゃるとのことでしたが、気さくな方です。
最後にこの施設のご自慢のプラネタリウムをみんなで見学したのですが、椅子のすわり心地がよくてリクライニングができるフカフカの椅子だったので、室内が暗くなって満天の星が見えた頃から私の記憶もなくなり、周りが明るくなってハッと気づきました。いわき市にもこんな施設があったら科学好きの子どもが増えるだろうなぁ、と思いながら施設を後にしました。

その後は私達がお世話になる能登谷さんの車でお宅へ。旭川市といわき市はゆかりのある街であること、中核市として協定を結んでいるので、震災後、真っ先に支援物資をいわきへ送ったのも旭川市であることなどを伺いました。
能登谷さんのお宅に着いてご挨拶してから、ご主人ご自慢の家庭菜園で、夕食に使う野菜を庭に出て収穫しました。枝豆、茄子、ピーマン、ベビィトマト、イタリアントマト、その他にもバラなどの植物がある中から、みず菜、レタス、バジルをとりました。
奥様が夕食の支度をしている間、私たちは近くの公園へ。震災後は公園で遊ぶこともできなくなったので、子ども達は大喜び。近くの公園をはしごしました。道を歩きながら、本州ではもう咲き終わったアジサイが咲いている花壇、北海道独特の二重玄関や煙突のある家が多いこと、家の玄関の近くにある灯油タンク、しかも家の中に直接灯油が引き込まれているので面倒な灯油の補給の必要がないこと、「もしかしたら冬は北海道の方が室内はあったかいかもね」という話をしたり、雪が降っても検針できるように水道メーターが壁にくくりつけられているところなど、北海道でしか見られないものを沢山見てきました。

夕食はかわいい奥様が作った手料理がテーブルいっぱいに並べられました。奥様はお仕事から帰ってきてから食事の用意をしてくださいました。お疲れのところ、ありがとうございました。北海しまえび、という北海道独特の珍しいえびもありました。この海老、かっぱえびせんのパッケージにあるえびと同じなんです。頭からバリバリと食べました。
食後には赤い果肉のメロンをスイカのように四分の1ずつ大きく切って出してくださいました。こんなに贅沢な食べ方も北海道流です。
美味しいごはんをおなかいっぱい食べた後はみんなで花火。今年初の花火です。なんと子ども達はねずみ花火にも初挑戦しました。
能登谷さんご夫妻はとっても仲良しで素敵なご夫婦でした。
花火のあとは足を伸ばしてゆっくりお風呂に浸かった後、お布団を並べてぐっすり眠りました。

翌日、前の日に能登谷さんと約束していた家庭菜園のブルーベリー摘みをする子ども達。前の晩、ブルーベリー摘みを楽しみにしていたので子どもたちは早くから目を覚ましました。
地元のパン屋さんが焼いたパンと豆から挽いた美味しいコーヒー、自分達で摘んだブルーベリーを沢山いれたヨーグルトをいただいての朝食。
奥様はお仕事に行かれるということで、出発前に能登谷さんの宅の前で記念撮影。お忙しい中、お宅に泊めていただいて恐縮でしたが、心からのおもてなしが私はなによりも嬉しかったです。

3日目の予定は旭川市長表敬訪問、上川振興局訪問、旭川ラーメン村にて昼食休憩の後、旭山動物園見学、夕食は富沢ふれあいの家にて、私たちを招待してくださった実行委員会の方との交流バーベキューパーティがあります。
集合時間には少し間があったので、市庁舎の中の能登谷さんの仕事場も見学させていただきました。
その後、旭川市長への表敬訪問。今回のツアーは旭川市と北海道より交通費と宿泊費を助成していただきました。そのお礼とご挨拶に伺ったものです。
旭川市長は40歳という若い市長でびっくり。パイロットの経験もあるそうです。その市長から「明日、お誕生日の子がいるんだって?」と質問されて私たちもびっくり。そうです、今回のツアーで最年少の篤史くん。彼は次の日、6歳の誕生日を迎えるんです。
その後は上川合同庁舎にご挨拶へ。はからずもナガサキの原爆投下の時刻と重なり、みんなで黙祷を。
その後、北海道の素敵なお土産を沢山いただいて失礼しまた。
合同庁舎の自動販売機では北海道限定の清涼飲料水「ガラナ」を見つけ、みんなで買いました。北海道ではこのガラナはポピュラーな飲み物のようです。

お昼は旭川ラーメン村にてそれぞれ好きなお店に入っての食事。
わが息子は煮卵つきのダブルチャーシューがあるお店に即決し、お腹いっぱい旭川ラーメンを堪能しました。

その後、子ども達が楽しみにしていた旭山動物園へ。 こちらも旭川市よりご招待いただきました。
能登谷さん宅を出るときに「動物園で食べてね」と子ども達ひとりひとりにおやつを入った袋を手渡して下さって、そのおやつを食べながら園内を回りました。
ちょうど午後の時間は動物達に餌を食べる“もぐもぐタイム”が何度かあり、私たちはもぐもぐタイムを中心に園内を見学することに決めました。ペンギンのトンネルに感動し、ホッキョクグマの泳ぎを見て、飼育員におねだりするアザラシを見ました。
息子が見たいといったオオカミ舎ではオオカミを間近に見て思わず「あ、あらしの夜に、のオオカミだ」という言葉が自然に出てきました。「あらしの夜に」の作者のあべ弘士さんはこの旭山動物園の飼育係をされていらしたとか。そのあべ弘士さんは9月のいわきアリオスで行われるいわき・わくわくキッズミーティングにいらっしゃるというので楽しみにしています。
他に私が感心したのは、手作りの動物を紹介する看板に飼育員の動物に対する愛情がとても感じられたこと。飼育員の手作りのパネルを見てドキッとしたこともありました。巨大な刃物、というタイトルで、風を利用して飛ぶワシ・タカにとっては風力発電のブレードは脅威であり、近年、数十件の鳥の衝突事故が報告されていること。風力発電もエコかもしれないが、見方を変えると渡り鳥が犠牲になる。人間は様々な観点から物事を見なくてはいけないかもしれない、というメッセージでした。
原発事故で多様な発電方法を模索していこうと思う私たちではありますが、常に人間だけのことを考えるのではなく、地球上の多くの動物達と共存していくようなそういう姿勢も大切だと思いました。
時間がなくて見ることはできなかったのですが、学習ホールにて地球温暖化展も開催されていました。
私たちがもぐもぐタイムで見たアザラシと同じ場所でワシが飼育されていました。屋根もないのにどうして飛んで逃げていかないのかと思ったら、傷ついてもう飛べることはないのだと飼育員の説明でした。
車に衝突するなど交通事故にあう動物も増えており、また地球の温暖化によって野生動物の住みかが奪われていくことなど、人間は直接は困らないことかもしれないけれど、動物にとっては死活問題になることもあるんだよ、と子どもにも分かりやすく語りかけていました。
動物園でまさかこのような話を聞いたり考えさせたりするとは思ってもいなかったので驚きましたが、素敵な取り組みだと思いました。
子ども達からは「また来ようね」と何度も言われました。普段だと「そうだね、また来ようね」と返事をするのですが、さすがに北海道にまた来るとなると、交通費はいくらかかるかな、と頭の中でそろばんをはじいてしまいます。でも子ども達に満面の笑みで「また来たい!!」と言われてしまうと「分かったよ、お母さんも頑張るよ」と思わず心の中で返事をしてしまいました。

動物園から帰るとふれあいの家の外では、実行委員会の方々がバーベキューの準備をしてくださっていました。
なんと実行委員のお父様方が鍋奉行!!をされていたんです。私たちはそのお鍋を囲んで先にお肉を沢山いただきました。
私たちが囲んだ鍋はコンサートで渡辺亮さんと競演する予定の、音楽プロデューサーでありシンセサイザーやベース奏者でもある佐々木さんが鍋奉行を務めてくださいました。
お食事をいただきながら、佐々木さんから旭川でのジュニアジャズオーケストラのお話やDecora 43というカホンの工房が旭川にあること、すばらしいカホン奏者が旭川にいらっしゃること、箱くらぶというカホンを演奏するサークルがあることなどを伺いました。さすが旭川は木材の町ですね。
お料理のほうですが、北海道でバーベキューといえばジンギスカン。正直なところ、ジンギスカンはにおいが気になるので自宅ではあまり食べないのですが今日のジンギスカンは美味しかった!!ほとんどにおいも気になりませんでした。本場のは美味しいのかも。隣の息子はお肉と茹でたトウモロコシをお腹いっぱい食べていました。
みんなが楽しく食事を始めたところで、能登谷さん司会による交流会が始まりました。私たちを招待して下さった実行委員会の松浦代表のご挨拶から実行委員会のメンバーの紹介、亮さんの挨拶、そして私たちovo novoの紹介をしたのですが、その中で道議会議員の真下さんも挨拶されました。今回、私たちは北海道と旭川市から助成を受けて旭川へ行ったのですが、本来ならば北海道までの移動はフェリーを使うところを真下さんの働きかけにより、飛行機での移動に変更になったのです。真下さんと私たちがホームステイでお世話になった能登谷さんは震災後のいわきにも足を運び、視察されたとのことでした。
こうして私たちが旭川に来るまでに本当に沢山の方の尽力があったと知り、感謝で胸がいっぱいになりました。
震災後、どうしてこんなことになってしまったのだろう、落ち込むこともありました。将来への不安で頭がおかしくなりそうなことももちろんありました。でも、今回のことはあの震災があったからこそつながったご縁で、あの震災がなかったらこの旭川の人たちとは出会えなかったんだなぁ、と思い、人と人とのつながりの大切さ、あたたかさを改めて感じました。

交流会も無事に終わり子ども達をお風呂に入れると、大人はミーティングに入ります。食事はお母さん達が、食事の準備をしている時間にお父さんやお兄さんスタッフが子ども達を連れて朝の散歩をするというのは、旭川に来る前の打ち合わせで決まっていたのですが、朝食が終わってからの掃除当番決めや明日の予定、夕飯のメニューを再確認します。
一階は男の子チームが、二階は女の子チームが掃除を担当し、各チーム割りもばっちり決めました。ちなみにカメラマンの写真とりぞうさんは掃除をする子ども達を撮影する係に決まりました。
その後、少しだけ今日までのことを振り返り、いろんな話をしました。活動以外のことも。普段のovo novoの活動ではなかなかそういった時間はとれないので、大人だけのいろんな話をする時間が持てたのもすごく楽しかったです。

日付が変わる頃になり、解散。部屋に戻ってきてクスッと笑ってしまいました。布団が違っても寝相が悪いのが変わらない子、掛け布団から脱走しようとする子、ちゃんと布団の中におさまっている子。三人三様だからまた面白い……。一人は部屋の入り口付近にまで転がってきて寝ていました。
翌日はいよいよ、私たちが旭川に来た目的であるワークショップが始まります。明日から頑張ろうっ!!

翌日、起床してから子ども達を6時半に起こしました。朝の散歩に行きたい人は650分に玄関集合だからです。子ども達は眠い目をこすりこすり、でもおいていかれたらさぁ大変!!なので急いで着替えて出かける準備をしました。

子ども達は男性スタッフにお任せして玄関でバイバイすると私たち女性陣は朝食作りにとりかかります。旭川へ来て本格的な料理作りはこの日が初めて。お味噌汁にベーコン入りスクランブルエッグ、パンやおにぎり、美味しい味噌をつけて食べるキュウリにスイカ等々、美味しいものがずらりと食堂のテーブルに並べられました。
ご飯の用意ができた頃、子ども達が帰ってきました。近所のカムイの杜公園で遊んできたとのこと。ご飯の前から汗びっしょり、とっても楽しかった様子。
ワイワイがやがやみんなで朝食。大勢で食べるとご飯も一層美味しくなります。

食後はみんなでお掃除タイム。はじめに自分たちが宿泊している部屋のお掃除の後、昨日決めた分担に従って廊下やトイレ、お風呂のおそうじをします。私と娘達はこの日は廊下の係。息子は一階の男の子チームに混じってトイレ掃除。お兄さんスタッフの指示のもと、息子もちゃんとお掃除できました。

この日の午前中はフリータイム。子ども達は男性スタッフ引率で外に遊びに行きました。その間、私は洗濯にとりかかります。ふれあいの家には洗濯機と乾燥機があるので、みんな順番で使っていました。洗濯が終わると部屋の中に干します。どうしても間に合わないときは乾燥機のお世話になりました。
洗濯が終わって食堂に行き、他のお母さんと一緒に持ってきたお菓子を広げてしばしのティータイム。子ども達を他の大人に任せてホッとできる時間があるというのも、母親にとっては嬉しいことです。
子ども達が遊びに行っている間に私は友人、知人にはがきを書きました。旅先からその土地の様子を感じられるはがきを使って近況を知らせることを前々からやってみたいと思っていて、どこかで旭川ならではのはがきを買おうと思っていたのですが、上川振興局にお邪魔したときにいただいたお土産の中に、大雪山のまわりの風景を写真におさめたはがきが入っていたので、それを早速使うことにしました。主人の実家へもはがきを書きました。旭川のコンサートが終了していわきに帰ったら、その足ですぐまた埼玉にある主人の実家に行く予定なので、私たちとはがきとどちらが先に埼玉へ行けるか競争です。

お昼前に子ども達が帰ってきました。近くの川で遊んだのでびしょ濡れです。「川で藻を丸めて藻団子を作ったんだよ」と次女。お兄さんスタッフと一緒に団子を作ったそうです。親じゃない年上のお兄さんやお姉さんがいるっていいなぁと思いました。
お昼は近くの農家レストラン ピルカノ に行って、そのまま午後のワークショップに参加するので急いで支度をして出かけました。
ピルカノ にはちょうどお昼休憩に来ていた旭川市の清掃委託車が停まっていて、なんとペンギンの絵が車の横と後ろに描いてあったのでペンギン大好きなovo novo メンバーの詩穂ちゃんのお母さんと写真に収めて来ました。

ピルカノでの美味しいお昼ご飯を食べたら、午後は真面目にワークショップに参加です。いわきから持っていったガンザを片手に、会場の富沢小学校の体育館へ。富沢小学校は私たちが宿泊しているふれあいの家のお隣にあります。
体育館に入り、知らない顔がいっぱいで少々緊張してしまいました。「ああ、この子達と一緒にこれから活動するのね」と。
ovo novo のメンバーもホストファミリー宅でなかよくなった友達と並んでワークショップに参加しているいわき&旭川組もいたのですが、全体的に見えると、少々、お互いに距離があるように感じました。
そんな中、まずはいわきからのメンバー佐藤登先生が、緊張している参加者を前にいわきと旭川の参加者が交流できるようにちょっとしたゲームを行いました。さすがは小学校の先生です。なんの打ち合わせもないのにパパッとゲームを考えてくださいました。

緊張がほぐれたところでワークショップ開始。今回も演奏だけでなく、舞台美術もみんなで制作することになっています。
まずは音楽のワークショップから始まりました。
いわきからのメンバーはおなじみのovo novoのリズムなのでいつもの調子でリズムアンサンブル。旭川の子ども達もいわきの子どもにひっぱられるように?いえいえ、ジュニアジャズオーケストラに参加している子ども達が多いせいか、それと亮さんの教え方が上手なのであっという間に会場が一つになり、亮さんの指揮の下、同じリズムを刻んでいました。これにはビックリ。
休憩時間に旭川の方から質問されました。「途中から見学に来たんだけれど、ビックリしたよ。いわきの子ども達は慣れているから旭川の子といわきの子と差が出ちゃうんじゃないかって予想していたんだけれど、最初からもうリズムの練習に入ったの?」と。その方の予想を遙かに超えて、あっという間にみんながひとつになって演奏していることに驚かれたようです。だって亮さんマジックですから、きっと譜面に起こしたら難しいであろうリズムも亮さんの魔法にかかると小さな子どもでもみんなあっという間にできちゃうんです。すごいですよね。
音楽のワークショップが一段落すると、今度は体育館の後方に置いてある白い幅広い布にみんなで絵を描きます。
4枚の布があるので参加者を4つのグループに分けルことにしました。さてどうやってグループ分けをするのでしょう?そこで我らが佐藤登先生。「自分の誕生日を思い出して!春生まれの人、夏生まれの人、秋生まれの人、冬生まれの人、それぞれ集まって」と言うと、ちょうどいいくらいの人数に分かれました。我が家は私と長女が春生まれ、次女は秋生まれ、長男は冬生まれのグループに分かれました。

一日目の美術のワークショップは、布に下地となる色を塗ること。まずはじめにみんな目をつぶって亮さんの演奏を聴きます。サワサワサワと揺れる葉っぱの音、風の声、風に乗って遠くから飛んでくる鳥の声。ジャングル?それともここはコロポックルの森?「目を開けて」と言われて、今のイメージを絵にしよう、森のイメージだよ、と。
みんなで絵の具を塗る際の注意点を聞いてから、さっき聴いた森のイメージを絵にするべく絵筆を持ってとりかかります。
緑色、濃い緑、薄い緑。水色がかった緑もあれば、黄色っぽい緑、それからちゃいろもあります。みんな思い思いの色を白い布地の上にのせていきます。濃い緑は葉っぱ、水色っぽい緑はたぶん、緑生い茂る森の中に湧き出る泉?そしてあの黄色は葉っぱの隙間から見えるおひさまの光。きっとちゃいろは葉っぱに埋もれながらも見え隠れする地面の土の色。
そして4つのグループに分かれて作業しているのですが、グループ毎に色づけも様々でそれがまた面白いのです。翌日はその上に色をのせていくということでどんな絵になるのか楽しみです。

美術のワークショップが終了して1日目のプログラムは終了となりました。
宿舎に帰った私たち女性陣は夕食の支度にとりかかります。今夜のメニューはハヤシライス。そして夕食の後はとっておきのサプライズがあるんです。というのは、その日は最年少メンバーの篤史くんの6歳の誕生日であり、そのことを知った旭川の実行委員の方が誕生日ケーキを焼いてくださったのです。なので子ども達には内緒で、食後にサプライズのお楽しみをすることになりました。

女性陣が厨房で食事の用意をしている間、子ども達は何をしているのだろうと様子を見に行くと、登先生のお部屋に行って遊んでもらう長男やお兄さんスタッフにかまってもらっている次女、出発前はみんなとなかよくできるかな、と私が心配していたことがうそのように楽しそうに過ごしていました。

そして夕食時には渡辺亮さんとのりさんもかけつけてくださり、ハヤシライスをみんなで食べたあと、草野詩穂ちゃんのバイオリンと佐藤花菜ちゃんのピアノ伴奏でハッピーバースディの歌を歌い、篤史くんの6歳の誕生日をお祝いしました。子ども達も思いがけず美味しいケーキが食べられて嬉しそう。大人もチーズとピリッとスパイスのきいたとブラックペパーが入りのケーキをご馳走になりました。
その後、食堂にある大きなテレビで子ども達は日本対韓国のサッカーを観戦。大きな画面と友達とみんなで見るサッカーに大興奮。その後ろで大人は翌日のスケジュール確認や翌朝の掃除当番決めをしていました。

夜は子ども達を早く布団に入れると私たち大人は大人部屋へ集合。「お母さん達は大事な話があるから!!」と。それもやっぱり私たちにとっては楽しい時間なのです。誰かの恋の話を聞いたり、真面目な仕事の話をしたり。
そしてこの日はovo novo のメンバーで現在九州にいる大久保パパとiPad を使って顔を見ながら会話をしました。北海道と九州、遠く離れているのにタイムラグもなく会話できることに驚きました。そこで、翌日は大久保パパだけでなく奥様や二人のお子さんとこちらに来ている子ども達と一緒にiPadを使って会話しよう、ということになりました。

前日は午後から雨模様だったのですが、翌日は雨も上がっていました。
朝の散歩は、前日の雨の影響もあるので川遊びができるか川の偵察もかねて子ども達と男性陣は出かけていきました。川を少し偵察した後、少し歩いて牧場まで行ったとのこと。サイロなどを見てきたようです。なかなかいわきでは見られない光景ですものね。
女性陣は朝食の支度。今朝は昨夜の残りのハヤシライスや玉子かけご飯、納豆など。ぺこちゃんが納豆奉行になって納豆をコネコネしていました。

この日の午前中は、近くにあるカムイの杜公園内にある わくわくエッグ に遊びに行きました。前の日は洗濯物があって子どもと一緒に行けなかった私も、この日は一緒について行きました。
途中、気持ちのいい風が吹いてきました。いわきにいたときは地面に落ちた放射物質が風で舞うから風が吹くのも怖い、「風よ、吹かないで」と思ったり、芝生や草むらに入ろうとする子どもに「そこは放射線量が高いから行かないで」と止めたりしていましたが、旭川にいる間は何も心配することもなく、風が吹いても心地よさを感じ、草むらに入ろうが、石ころをつかもうが子ども達に何も言わなくてもいい、飲むもの、食べるものにも気を使わなくていい、すべてのことに「ああ、ここには震災前の生活があるなぁ」と思いました。
わくわくエッグは木をふんだんに使った暖かみのある建物で、多くの家族連れが遊んでいました。いわきの子ども達もウォールクライミングをしたり、建物内を走り回って探検したり、楽しく遊んでいました。
わくわくエッグの外にも屋外遊具が沢山あり、子ども連れでこちらも賑わっていました。

午前中に沢山身体を動かしたあとは美味しい昼食をいただいて、2日目のワークショップ開始。長男も旭川から参加したとってもユニークなお父さんと息子さんの親子連れとなかよくなました。お互い、暑さ対策のために会場に置かれていた強大な冷風機に頭を突っ込んだり、会場を追いかけっこして遊んでいました。こういうときは言葉を交わすよりもすんなりと心がつながるのかもしれません。

2日目は1日目と逆で、まずは美術のワークショップからとりかかることになりました。昨日、下地を塗った大きな布に、今日は赤やピンクや黄色、白などの明るい色を使い、森やそこに吹いてくる風、鳥、虫、いろんなイメージをのせていきます。まず亮さんがお手本を見せてくれました。フーッと吹いてくる風なのかな?
その後、各自絵筆を持って好きに描いていきます。カラフルになっていく布地。私も絵筆を持ってイメージ、イメージ、と思うのですが、どう描いていいのか悩んでしまいます。亮さんの頭の中にはどんな絵ができているんだろう?そのイメージを壊したくないな、そう思うから余計に頭も手も固まってしまってしまいました。すると旭川から参加しているちっちゃな女の子が、亮さんと楽しそうにスラスラと絵筆を滑らせていて、彼女が亮さんとアーティストとしてコラボレーションしているようで見ていてうらやましくなりました。とそれと同時に、その子に勇気づけられて「大丈夫、自分のイメージ通りに描けばいいのよ」と言われているような気がして、それからは私も少しずつ、子ども達が描いていない隙間のスペースにスラスラスラーっと絵筆を滑らせました。
このovo novo のワークショップで私が気に入っているのは、音楽だけでなくこの美術のワークショップもあること。色を使ってスイスイスイっとイメージの世界を表現するのってどうしてこんなに楽しいんだろう?と毎回思うのです。
同じグループの長女も自由にイメージの世界を表現していました。他の人とは違う自分のオリジナルの世界をどんどん描いていく姿に、我が娘ながら「センスがあるなぁ」と思います。そこで、娘が描いた部分をカメラでパチリ。いわきに帰ったら主人にも見てもらいたいからです。
冬グループで作業していた息子と一緒に絵を描いていたお母さんからも「息子くん、すごくセンスがあるのね、ビックリしたわ」と言われたので、カメラを持参しながら息子に「どこ描いたの?」と聞いてここでも息子が描いた部分をパチリ。なんだか不思議な宇宙人のようなものが描いてあったり、かと思えばテレビゲームのキャラクターが描いてあったり。まあまあ息子らしい世界がそこには描かれていました。
美術のあとは音楽のワークショップ。いよいよ明日は本番、コンサートです。練習にも熱が入ります。
こども達が音楽のワークショップに参加している間、私たちいわきのお母さん達は美術で使った絵筆を洗ったり絵の具で汚れた洗面所のお掃除をしていました。お掃除をしながら、ああ、明日はコンサート、そして明後日はもう解散なんだなぁと考えていました。そして、私たちいわきのメンバーと旭川の実行委員会の方々の間に入り、細々とした打ち合わせをしている前田優子さんのことが頭に浮かんできました。コンサートの事前準備のために北海道を訪れて打ち合わせをし、いわきでも日々の仕事の傍ら北海道のスタッフと連絡を密に取り合い、またこちらで宿舎に滞在している間も絶えず実行委員の方と電話をしながらちょっとした変更にも対応し、一番大変だっただろうなぁ、と思ったのです。それから、今回のことは渡辺亮さんとのりさんがいらしたからつながったご縁であり、前田さんの片腕として動く反面、こども達の遊び相手をしている矢吹さん、お仕事のお休みをもらってこのツアーに同行し、カメラマンとして写真を撮るのが目的だったのにいつの間にかこども達のお守りまでしている‘写真とりぞう‘こと鈴木穣蔵さん。この方々のおかげで私たちはこのコンサートツアーに楽しく参加できているんだなぁ、と。このツアーが解散する前に何かサプライズができたらいいなと考え、他のメンバーに伝えるとみんな賛成してくれました。

音楽のワークショップも終了し、翌日のコンサートに向けて服装や集合についての話も聞き、宿舎に戻りました。
女性スタッフは夕食作りにとりかかります。主婦がいっぱいいるので台所での流れ作業でどんどん進んでいきます。最初は25人分の食事といわれても分量が分からず、どれくらい作っていいのか分からなかったのですが、だんだん大人数の食事にも慣れてきました。そしてあっという間にどんどん食事ができていきました。この日のメインメニューは二色丼。甘辛く煮た挽肉と卵のそぼろをご飯の上にかけます。ちなみにこのメニューは我が家でもよく登場しますがこども達も大好物なのです。案の定、我が家以外のこども達もお腹いっぱい食べていました。
食事のあとはみんなで厨房の流しで後片付け。男性スタッフやこども達もみんなで一緒に洗い物をして楽しそうでした。
その傍らで、食堂では今は九州で生活している大久保家族とテレビ電話でみんなと会話。北海道と九州ととてつもなく離れているのに、テレビ画面いっぱいに大久保ファミリーが映し出されるとみんな大はしゃぎ。大久保家のこども達は見ない間にすっかりお姉さんとお兄さんになっていました。

夕食のあとはみんなが楽しみにしていた花火と星の観察会。こども達は男性スタッフに託して、女性スタッフは食堂で内職。なんと明日のコンサートで身につけるためのミサンガを作るのです。いつもovo novoのコンサートの時はミサンガを身体のどこかに身につけて演奏に臨んでいます。ミサンガは友達のしるし。今回も旭川といわきのメンバー、コンサートに携わってくださった沢山のスタッフ、みんなでお揃いのミサンガを身につけてコンサートに出演しよう、という作戦です。
今回のコンサートのテーマカラーは緑ということで、緑と黄緑と白の三色の毛糸を三つ編みにしてミサンガを作ることに。みんなとコンサートができてよかったよ、ありがとう、という気持ちで、花火と星の観察会を終えて戻ってきた子供たちにも手伝ってもらいながら、気づけば100本近くミサンガを編みました。特に佳織お姉さんは目にもとまらぬ早業で編み上げていくのでビックリ。素敵なミサンガがたくさんできました。ちなみに亮さんのミサンガは特別仕様です。

ミサンガを作り終えるとあとは入浴して就寝。子どもたちとお風呂に入って、ああ、今日も一日楽しかった、と思っていると、入浴を終えた次女が着替えをしながら「女子会をするの!!」と急いで脱衣場を出ていきました。女子会?!次女の口からそんな言葉が出てくるとは驚きです。部屋に戻って「誰とするの?」と聞くと「うんとねぇ」と女の子のメンバーに交じってなぜか「あとね、やぶちゃんも」と。えっ、矢吹さんは男だけど女子会のメンバーなの?!次女はニコニコしながら隣の女子会会場となる部屋へ。そして長女と末っ子長男は私の携帯を使って毎週見ているドラマを視聴。その横で私は、残り少なくなった北海道滞在の日を思いながら荷物をまとめました。

子どもたちを寝かしつけた後は大人の時間。日付が変わるころまでいろんな話をします。先ほどの娘たちの女子会の話にもなりました。さすがにやぶちゃんは女子会には来なかったそうですが、小悪魔ちゃんたちに質問攻めにあったと佳織お姉さん。うちの娘、どんなことを質問したのかちょっと怖い気もする母でした。翌日、「お姉さんにどんな質問したの?」と聞いても「内緒だもん」と教えてくれませんでした。これからどんどん内緒が増えていくんだろうなぁ、うちの子どもたち。

コンサート当日の朝。
いつものような子どもたちの朝の散歩はありません。朝食をすませると、お世話になった施設のお掃除をいつもより時間をかけて念入りに。私と娘は洗面所とトイレのお掃除を担当しました。
その後、10時にお迎えの車が来るまで女性スタッフは食堂でおにぎり作り。翌日の朝、空港に向かうバスの中で食べるようおにぎりを作るのです。でも私はその時間、部屋で荷物の整理をしていてお手伝いすることなく終わってしまいましたが。そして我が家の子どもたちは家から持参したかいけつゾロリのおやじギャグかるたを持ってお友達の部屋へ行ってみんなでかるたをしたようです。

10時になりお迎えの車がふれあいの家に来ました。これから旭川市内へお土産を買うツアーに出かけるのです。昼食を済ませた後はコンサート会場に直行するのでコンサートの衣装と楽器も持参して出かけました。
コンサート会場となる大雪クリスタルホールの前を通りすぎ、旭川駅からほど近い買い物通りへ。車を降りるとコンサート実行委員の村田さんが待っていて、どこにどんなお店があるか説明していただき、お土産を買って昼食を済ませたらまた同じ場所で集合することにし、一度解散しました。私たちは旭川のお土産を扱う物産館のようなお店があることを聞いたので、まずはそこでお土産を買うことに。そして多くのお店が通りにズラーっと並ぶこの平和通は日本で初めての歩行者天国になったところだということでした。
物産館を目指して歩いていると、先ほどお店の説明をしてくださった村田さんがもう一人のご婦人と歩いており、村田さんたちも同じ方面に行かれるというので物産館まで案内していただくことにしました。「お昼は何を食べるの?」と聞かれ「旭川ならではのものを食べたいと思っています」と答えると「じゃあ、おいしいお寿司を食べられるお店があるわよ」とお店の場所を教えてくださいました。まだ開店には早いので先にお土産を見てからお昼にしようと物産館まで行って村田さんたちと別れました。

物産館では旭川動物園のグッズも販売しており、買い忘れたお土産も買うことができました。
そこで見つけた旭川動物園のお土産を見て「あ、これ、いいかも!!」と思い、前田さんをはじめovo novoスタッフへのサプライズプレゼントをゲット!!
買い物を済ませてあらかじめ聞いていたお寿司屋さんへさっそうと向かったのですが、時計は12時を過ぎており、ウィークデーだったのでランチの時間帯は人気店はすぐにお客さんでいっぱいになってしまいました。ご紹介いただいたお寿司屋さんもそうで、すでに満席。じゃあ、ほかのお店にしようか、としょんぼりしているとまたまたばったり村田さん達と会い、違うお店に行こうと思っていると伝えると「分かりづらいと思ってさっきは紹介しなかったけれど美味しいお寿司屋さんが他にもあるからそこに案内するわ」と平和通から少し離れたお寿司屋さんに連れて行ってくださいました。お店の前に来て暖簾が出ていないので今日はお休みかも……、と思っているとお店の中に入っていった村田さんがお店のご主人に事情を話してくださり、特別に握ってくださることに。子どもたちも大喜びでした。
お寿司ができるまで村田さんのユニークで素敵な子育て、子どもたちとなかよしになったしんちゃんのお父さんと叔父さんのお話を伺い、私も興味深く聞かせていただきました。
そしてお待ちかねのお寿司!!新鮮なネタに、普段は苦手なお寿司をあまり食べることがない私もこのときは本当に「お寿司って美味しいんだなぁ」と思いながらいただきました。

食事を済ませると急いで集合場所へ。他のメンバーに「何を食べたの?」と聞くとスープカレーだったり旭川ラーメンだったり、お寿司だったり。みんな北海道ならではの美味しいランチを楽しんできたようです。
お土産もたくさん買ったり、北海道に来たから、とカニを注文して自宅に配送手続きをしたメンバーもいました。

その後、タクシーに分乗してコンサート会場へ。いよいよ本番です。
会場となる大雪クリスタルホールは木のぬくもりを感じられるような素敵なホールでした。本番の衣装に着替えて待合室へ。そこにはコンサートでご一緒する旭川箱くらぶの方々が旭川のカホン工房 デコラ43 で製作されたカホンを持参されていて、実際に叩かせていただきました。二人で演奏することもできる変わった形のカホンもありました。

今回、大人スタッフは演奏に加わるか、客席でこども達の演奏を見ることもできると二つの選択をすることができました。私はどちらにしようか考えました。普段、演奏している姿を客席から客観的に見ることも時には大事だし、北海道の地でこども達と同じステージに立てることも魅力……。結局私はこども達とステージに立つことにしました。

リハーサルをするよ、と言われ、ホールに足を踏み入れてまず驚いたのは絵幕。昨日まで床に置いてあったのを見たときは別段、すごいとも何とも思わなかったのだけれど、こうして舞台美術として天井から吊り下げられ、照明を浴びた姿は昨日とはまるで別人のよう。体育館で描いていたとき、「これはお金をとる絵だよ」とおっしゃっている方がいました。その時は「ええ、そうなかなぁ?」と私は半信半疑でしたがその言葉に納得しました。これが子どもたちによって描かれたものだと誰が信じられようか……。どこかの美術の大家の作品で、それもえらく長い時間をかけて描かれたような、そんな作品に見える。たった二日で仕上げたなんて信じられない、ああ、子どもたちってみんな天才!!

話には聞いていたけれどとっても優しい舞台監督さんのおかげで無事にリハーサルも済んだあとは旭川の子どもたちとお別れ食事会。なんとメニューは某ハンバーガー店のホットドックとハンバーガーとポテト。実行委員会の方がどんなメニューだったら子供たちみんなが喜ぶか?と考えに考えたらこのメニューに行き着いたそう。ナイスアイディア!!子どもたちも大喜びで食べました。
私たち大人組は美味しい幕の内弁当を広げ、私も旭川から参加している方とおしゃべり。「いわきに帰ったら宿題をさせないといけないんだけれど、山のように宿題があって、子どもの宿題だけれど半分はお母さんの宿題なんですよね、だってちゃんと宿題に取り掛かるように監督しないといけないし」と話したら、なんとお話していた方は小学校の先生をされているそうで「参考になりました」と……。焦る私。その横で息子は旭川の参加者の男の子と追いかけっこをしてすっかり打ち解けて遊んでいました。

ほとんどの方が食事を済ませると、前の晩にみんなで作ったミサンガを前田さんがコンサート参加者に、ミサンガは友達のしるしだということ、みんなが一生懸命に編んだこと紹介し、いわきの子どもたちが旭川の参加者やスタッフにプレゼントして回りました。
そして私たちovo novo の大人参加者が前田さん達にもサプライズプレゼント。旭川動物園のオリジナル手拭いを亮さんとのりさん、前田さん、矢吹さん、穣蔵さんへ手渡し、大人メンバーで記念撮影もしました。それぞれ早速、手拭いを出して身に着けてくださいました。今回のコンサートツアーのいい思い出になりますように。いつまでもこの日のことを思い出してもらえますように。

食事の後はいよいよ本番です。お客さんもどんどんやってきました。
子どもたちも緊張することなく本番を迎えます。
第一楽章はovo novo お決まりのドラムマーチ。かっこよくきまると気持ちがいいのです。
客席の後ろでは前田さんや演奏者ではなく、客席からみんなの演奏を見ることを選択したお母さん達がリズムに合わせて大きく身体を揺らして応援しています。その姿にも大いに勇気づけられました。
第二楽章は佐々木さんのドラムと亮さんのカシシや鈴の演奏、そしてバックには佐々木さんのシンセサイザーが流れています。
舞台裏ではすっかり打ち解けた旭川の子どもたちといわきの子どもたちが次の出番を待ちます。かずは兄ちゃんは旭川の女の子たちにも大人気。うちの息子は旭川のユニークお父さんとまたまた面白いポーズで記念撮影もしました。
第三楽章は大人の人たちのカホンから始まり、子どもたちのカシシとスコップへ。最初はステージの真ん中で亮さんが一人でカホンをたたいているのだけれど、ここに一人ずつ大人がカホンを持ってステージに登場し、無言で亮さんの隣にカホンを置いて一緒に演奏に加わる、いつしかそのカホンが増えていき……。私の大好きなシーンの一つであり、いつ見ても本当にかっこいいなぁと思います。
第四楽章は佐々木さんのベースと亮さんのコンガ。それから佐々木さんのシンセサイザー。
第五楽章はガンザとタンボリンを持ってステージへ。亮さんと私たちの秘密の暗号から繰り出される演奏。お客さんにわからない暗号でやり取りするのがとっても楽しいのです。毎回ご当地暗号が登場して、いわきでは草野心平さんにちなんで「つるんぶ つるんぶ」だったのが今回は「ころぽっくる」に変身。しかし、うちの娘はころぽっくるという言葉は馴染みがなかったので北海道の美味しいお菓子「じゃがぽっくる」という言葉に置き換えて覚えたそう。‘ころぽっくる’も‘じゃがぽっくる’も北海道ならではのものだから、まあ、いいかっ。そしてなんと佐々木さんのサプライズベースも登場して大いに盛り上がりました。
演奏が終わると佐々木さんから会場のお客様に向けてご挨拶がありました。佐々木さんのお話を聞きながら、実行委員の皆さんのご尽力があったからこそこうして私たちがここに立つことができたことを思い起こし、また絵幕も子どもたちによる作品だということを会場の皆さんに紹介しながら無限の可能性を秘めているこども達は未来の宝だと、そしてこれからも子どもたちを大事にしていきたいという佐々木さんの思いに私は涙がこぼれました。本当に旭川には素敵な大人がたくさんいるなぁ、いい町だなぁ、と。
そして迎えたアンコール。新しいドラムのフレーズが追加されかっこよくなったのと、客席のお客さんと私たちとの掛け合いの演奏が新しく、素敵でした。そして最後、出演者みんなと「いわき」「旭川」「ありがとう」という言葉を感激の思い出で客席のお客さんに向けて叫び、終演となりました。
本当に本当に楽しく素敵で感激の気持ちいっぱいのステージでした。

コンサートが終わり、私たちがホームステイでお世話になった能登谷さんと奥様とみんなで最後に記念撮影をしました。連絡先も交換して楽しかったこと、また手紙を書くことを
約束して私たちは宿舎へ帰りました。
ふれあいの家に着くとなんと大きなホワイトボードに「OVO NOVO の皆さん 大きな感動をありがとう!」の文字が。ふれあいの家スタッフの皆さんからの、コンサートの感想が書き綴られていました。ふれあいの家の皆さんもコンサートに駆けつけてくださり、私たちの演奏を見てくれたのです。
管理人さんが、皆さんから教えられたことがいっぱいあるんです、と話してくださったことを思い出しました。大変なことを経験して、またその渦中にある中で北海道に来たから、きっとギスギスした関係で心配事が多々あるのではないか、と内心心配していたそうです。ところが実際に受け入れてみると、私たちはみんななかよく明るくて、そういった心配は一切なく、逆にたくさんのことを教えられました、ありがとうございました、と。お礼を言うのは私たちのほうなのに、と思いましたが、管理人さんも喜んでくださっていたのでそれが私もうれしかったです。

次の日は朝5時過ぎにはここを発つ予定なので、子どもたちをお風呂に入れて早めに就寝させました。「早く寝るんだよ」という私に次女は「お母さん、これだけは言わせて。あのね、サプライズベースがかっこよかったよ。」ああ、興奮してなかなか寝付けないんだなぁと思いました。

北海道最終日。
4時にはもう目が覚めました。荷物をまとめ、お布団を片づけながら子どもたちも起こしました。
朝早い時間だというのに実行委員会の方々も見送りのためにふれあいの家に来てくださいました。
思い起こせば6日前、真っ暗な中で到着したこのふれあいの家。どんな仲間が待っているのかドキドキでした。でも皆さんの心温まる歓迎と交流に楽しい一週間を過ごすことができました。本当に楽しい、一生思い出に残る数日間でした。
飛行機の時間もあるのでみなさんと記念撮影をしてからバスに乗り、ふれあいの家を後にしました。
外から見える景色にもありがとう、楽しかったよ、と心の中で言いながら目に焼き付けました。
子どもたちは、昨日、女性スタッフが握ったおにぎりを食べた後はペチャペチャおしゃべり。息子も、ともは兄ちゃんとじゃれあっていました。行きのバスの中では少しよそよそしかったうちの子どもたちも帰りのバスの中ではおおいにみんなと打ち解けているようでした。

予定より少し早めに空港に到着。行きに空港に到着した時はもう夜も遅かったし、送迎のバスにすぐに乗ってしまって気づかなかったのですが、新千歳空港の大きいこと。沢山のお店に驚きながら、またまたお土産を買いました。
帰りの飛行機はほぼ満席に近い状態でしたが楽しかった北海道の地に別れを告げ、飛行機は飛び立ちました。

空港に到着して車に乗り換えた途端、子どもたちはすぐに深い眠りに落ちました。
楽しかった一週間、素晴らしかったコンサートステージ。そしてお世話になったホストファミリー。つながった沢山のご縁。これら全部が私たちの宝物です。
これからきっと大変なことはたくさんあると思います。でも今回、心にたくさんの貯金ができました。この貯金があれば子どもたちは大変なことがあってもきっと乗り越えられると信じています。



私たちを旭川へ招待してくださったovo novo招聘実行委員会の皆さん、北海道、旭川の皆さん、本当にありがとうございました。